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676話

「お母さんはそう言って、座敷から出て行ったよ」

「金水、何か聞かれたの?」義姉が尋ねた。

「別に何も」僕はにやにやしながら答えた。

鶏のスープを美味しくいただいた後、義姉が台所で片付けを始め、僕は門の前で彼女を待っていた。

ちょうど待っていると、村の入り口の方から黒い乗用車がやってくるのが見えた。

村で車を持っている人はそう多くなく、片手で数えられるほどだ。見ていると、その車が少し離れたところで止まり、後部座席から若い女の子が出てきた。

そのお洒落な格好を見ただけで、都会の人だとわかった。

彼女は足早に僕の方へ駆けてきた。

その子はとても綺麗で、肌が白く、涼しげな服装をしていた。

僕が首をかし...