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624話

その芽は七色花であったが、今はごく普通の緑色をしていた。七彩七夜花なのか、単なる七夜花なのか、今はまだ判断できない。

とはいえ、まだ幼苗の段階なので、特に害はないはずだ。

一気に踏み潰してしまおうと思い、足を下ろそうとした瞬間、なぜか心の中に不憫さが生まれ、すでに下ろしかけていた足も思わず緩めてしまった。

眉をひそめながらその芽を見つめ、今の自分の様子に違和感を覚えた。なぜ踏み潰すことができなかったのだろう。

さらに奇妙なことに、私はゆっくりと手を伸ばし、力を入れてそれを土から掘り出していた。

露に濡れたような七夜花を見ながら、私の口元は思わず微笑みを漏らし、つぶやいていた。「早く大きくなるん...