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39話

「この瞬間が止まってくれたら、どんなにいいだろう。それか、大きなベッドがあればもっと素晴らしいのに!」

私は秦菲を救うためにこれほどの危険を冒したんだ。こんな単純な抱擁だけじゃ、俺の大胆な行動が報われない気がする。

そこで周囲をぐるりと見回して、すぐに思いついた。

簡易住宅地の方には明かりがほとんどなく、こちらも人通りは少ない。あちらを行き交う人影はほとんど見当たらない。

暗闇というのは時に不安を感じさせるものだが、時にはこういう真っ暗な状況でしかできないこともある。

秦菲のすすり泣く声が次第に落ち着いてきたところで、俺は彼女の美しい背中を軽くトントンと叩いた。「菲菲、ここはまだ安全...