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288話

カードと暗証番号を受け取ってから自室に戻った私は、手の中の銀行カードを見つめながら計算してみた。このカードに前の十万円、それに後で受け取る予定の百万円を足すと、合計で百三十万円になるのか?いつからこんなに簡単に金が稼げるようになったんだろう?

何だか現実感がなかった。あまりにも簡単に手に入れた金に、どこか心の底で不安を感じていた。

この二日間の出来事を改めて思い返してみると、遺影を撮ったこと以外には特に不気味なことはなかった。おそらく彼らの家の伝統なのだろう。そう自分に言い聞かせるしかなかった。

夜になると、ドアの外からノックの音が聞こえてきた。

「誰?」と私が尋ねると。

「小梅です」と...