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1616話

「そう言いながら、私は彼の方へ歩み寄った。

彼は苦しそうに立ち上がり、手にした黒旗を振ろうとしたが、力なく見えた。

それゆえ、あの厲鬼たちも宙に浮かんだまま、動こうとしない。

道士の顔に慌てた表情が浮かんだ。「若造、手を止めろ!降参だ!」

「もうそんなに早く怖気づいたのか?冗談だろう?」私は冷ややかに笑った。

「お前を見くびっていたようだ」道士は恨めしそうに言った。

「ふん、好きな時に戦いを仕掛けて、都合が悪くなったら逃げるつもりか?そんな甘い話があるか?」私は更に前へと歩を進めた。

彼を見逃すつもりなど毛頭なかった。

もし今ここで逃がせば、虎を山に帰すようなものだ!

「若造、俺...