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1348話

「でも、確かに昔のようなスリルは減ったな」

だが、今では義姉さんと接触することなんてもっと不可能だ。

それでも、夜更けになると、やはり義姉さんの漏れる声で目が覚めてしまった。

仕方ない、今の俺の五感は鋭敏すぎるのだ。

義姉さんの発する声は実際とても小さい。以前なら、ドアに耳をぴったりつけないと聞こえなかったのに、今では自分の部屋にいながら、彼女の様子が手に取るように見えるだけでなく、声も無限に増幅されて聞こえてくる。

正直言って、今の俺は周囲五十メートルほどで起きていることなら、確認したいと思えば何でも見ることができる。

ざっと見渡しただけでも、このアパートには少なくとも十組ほどのカップルがベ...