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132話

李宝根の声を聞いた瞬間、陳思思と私はふたりとも固まってしまった。だが、私のほうが反応は早く、すぐにベッドから飛び起きた。

何もなかったとはいえ、さっき陳思思が言っていた言葉は、確かに誤解を招きかねないものだった。

私が起き上がったばかりで、まだドアに向かう間もないうちに、李宝根は部屋に入ってきた。

「おじさん、思思がここにいると思ったんだ。やっぱり当たってたね」李宝根は丁寧に私に挨拶をした。怒っている様子はまったく見せなかった。

陳思思は黙ったまま、どことなく慌てた表情を浮かべていた。明らかに後ろめたさを感じているようだ。

やはり、こっそり悪いことをするものじゃない。自分の良心も咎めているだろ...