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116話

「お嬢さん、追わないでください。物は取られていませんから、ありがとう！」

私は痛みを堪えながら言った。あの女性にこれ以上迷惑をかけたくなかったし、物が無事なら十分だった。

彼女は最初、私の言葉を聞き入れようとしなかったが、私の苦痛に満ちた様子と体の傷を見て、急いで私を病院へ連れて行ってくれた。

話を聞くと、この女性は張紅雪という名前で、警察官だということだった。ただし、この都市の所属ではないらしい。

医者が包帯を巻いてくれたが、傷が深かったため、病院で抗生物質の点滴を受ける必要があった。張紅雪は親切にも私に付き添ってくれた。

この時、私はもう痛みをあまり感じず、この女性警官をじっくりと観察し始...