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1083話

「あら、それを言われると私もトイレに行きたくなってきたわ」

「じゃあ、針を抜きますね」

私も早く終わらせたかった。さっき梅子には、あと30分くらいと言っておいたから、彼女はきっと時間を計算してヴィラに戻って私を待っているはずだ。先に下りて、彼女がどんな言い訳をするか見てやろう。

そこで、銀針をすべて抜き取った。

「馬さん、じゃあ先に失礼します」

「ええ、先に行きなさいな!」

馬さんは起き上がって、「あんた、目が見えないのにほんと有能ね。たった二日でもう一人で階段を降りられるなんて」

「ふふ、村にいた頃は、一人で町まで行けたんですよ。この程度の距離、なんてことないです」

「わかったわ、気をつけて...