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599話

「任務はそう難しくないんだけど、ずっと迷っているの。やるべきかどうか!」

アリスは細長い指で葉来の胸元に円を描きながら、ゆったりとした口調で言った。

葉来の目が僅かに細められ、その瞳から一瞬にして殺気が放たれた。

「どうした?俺を殺したいのか?」

アリスは葉来から伝わる殺気を感じ、顔を上げると、その美しすぎる瞳には笑みが満ちていた。

「もし彼女に手を出すなら、お前との関係なんて考慮しないぞ」

葉来の声は平坦だったが、その口調には絶対的な譲れなさが滲んでいた。

「賢いわね。私の今回のターゲットが蘇馨月だって見抜くなんて」

アリスは微笑んだ。

「残念だけど、私はあなたの相手になれないし、敵になりた...