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590話

「下品な奴!」

蘇馨月は顔を赤らめて唾を吐くように言った。

「調子に乗るのもいいけど、ビンタでもくらったら、私のこと知らないって言わないでよ!」

「見てなよ!」

そう言うと、葉来は口笛を吹きながら、両手をポケットに突っ込み、ゆっくりと近くの金髪の女性に向かって歩いていった。

その金髪碧眼の女性は、スーツ姿の若い男性と話をしていた。

二人は楽しそうに会話を交わしており、顔には明るい笑顔が浮かんでいた。

男性の雰囲気は悪くない。

実際、このクルーズ船に乗れるような人は、男女問わず、みな品のある話し方と雰囲気を持ち合わせていた。

葉来だけがまるで完全な庶民のように見えた。

彼は流暢な英語で何かを話し...