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583話

ウェイターは葉来、蘇馨月、楚琉璃を貴賓室へと案内した。

その部屋は、まさに宮殿のような豪華絢爛な装飾が施されていた。

二、三百平方メートルもある広さは、江城市で最も豪華なホテルの大統領スイートよりも贅沢な造りだった。

「ふむふむ、金持ちってのはホントに贅沢な暮らしをするもんだな。海の上に浮かんで、こんな素晴らしい部屋に泊まるなんて、そりゃあ気持ちいいだろうよ」

葉来は部屋の中をぐるりと一周して、感心したように言った。

蘇馨月と楚琉璃の関心はそんなところにはないようだった。

彼女たちは葉来のように何も考えずにいられるわけではない。

今夜この船に乗り込んだこと自体が挑戦だったのだ。武陽がこれからど...