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582話

叶来は振り返って一目見ると、黒いスーツを着た楚琉璃がこちらに向かって歩いてきていた。

「あなたも招待されたの?」

叶来は眉をわずかに寄せた。

この頃、楚琉璃の衆義閣は青花会と激しく対立している。

先日、青花会の切り札である殺し屋・謝尊がこのパーティーに参加すると明言していた。

栄和は謝尊を招待し、今また楚琉璃まで招いている。彼は一体何をたくらんでいるのか?

「ええ。クルーズ船が私の埠頭に停泊しているんだから、招待されて当然でしょう」

楚琉璃は表情を崩さず答えた。

「そうか。じゃあ今夜はこの船の上、間違いなく賑やかになるな」

叶来は肩をすくめ、誘いかけた。

「一緒に行くか?」

「そうね、一緒に行...