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570話

「うん、杜庭瀚を捕まえられなかったな」

葉来はうなずいた。

「捕まえられなくてもいい。奴の正体を暴けたんだから、それで十分だ」

杜庭瀚のことを思い、蘇馨月は心の中で溜息をついた。

その時、オフィスのドアが突然開き、蘇凌児が飛び込んできた。

「ねえ、こそこそ何話してるの?杜庭瀚のことも、どうして私に教えてくれなかったの!ずっと私だけ蚊帳の外にして!」

姉の前だったので、蘇凌児もあまり無茶はできず、隣に座って頬を膨らませながら言った。

「凌児、わざと騙そうとしたわけじゃないんだ。ただ、君が気づかれるような素振りを見せるのが心配だったんだよ」

葉来は説明した。

「私がバレるようなことするわけないじゃ...