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554話

「わからない」

上島君子は一瞬驚き、それから首を横に振った。

「お前はすでに俺の手の内にいるんだ。教えないでも俺が知れないとでも思っているのか?」

葉来の声が冷たくなった。

「死ぬのは怖くない」

上島君子も同じく冷たい目で葉来を見つめた。

山口組で訓練を受けた者として、どうして死を恐れるだろうか。

「死?いい夢見てるな。俺はお前に生きるのも死ぬのも許さない!」

葉来はそう言いながら、上島君子の頭に平手打ちをくらわそうとした。

だが考え直して手を引っ込めた。

すでに脳震盪を起こしているのに、また叩いて本当に馬鹿になったらどうする?

そこで彼は銀の針を取り出し、上島君子の体に刺し始めた。

刺しなが...