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553話

この数日間、雲城はしばらく平穏だった。

叶来は相変わらずオフィスで、高倍率の望遠鏡を使って蘇氏集団の周囲の状況を観察していた。

そのとき、ポケットの携帯が鳴り響いた。

取り出して見ると、なんと魅月からの電話だった。

「もしもし、魅月、どうした?」

「ご主人、私と黒風が窮地に陥っています!」

受話器から魅月の切迫した声が聞こえてきた。

「どんな窮地だ?」

叶来は眉をひそめ、顔から笑みが消えた。

「上島君子に見つかってしまいました。彼が私たちを追跡しているようです」

「なに?上島君子が現れたのか?」

叶来は一瞬驚き、すぐに大喜びした。

彼はここ数日、ずっと上島君子を見つけることを気にかけていたのだ...