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289話

「キスだけ?蘇馨月、冗談はよせよ。男と女が二人きりで、私が木の人形だとでも?何も感じないわけないだろう?」

葉来は呆れた様子で言った。

蘇馨月は身体をもじもじとよじらせながら、必死に抵抗して小声で言った。

「早く起きなさいよ!さもないと許さないからね!」

「後悔しないか?」

葉来はまだ彼女の上に覆いかぶさったまま、顔を近づけて囁くように笑った。

温かい吐息が耳に触れ、蘇馨月は全身が再び震えた。必死に頭を振って、ようやく正気に戻った。

「早く起きて!さもないと本気で戦うわよ!」

蘇馨月は片手で胸元を守り、もう片方の手で横にあったハサミを掴んだ。

葉来は内心で「惜しい」と思った。

あと少しで、蘇馨...