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216話

「万薬斎との取引は既に決まったから、葉来と蘇馨月もこれ以上ここに留まる必要はなく、車で出発した。

徐少も長居せず、徐家へと戻った。

葉来が江城に来ていることを、父親に報告しなければならない!

道中、蘇馨月は横目で葉来を観察していた。

この男、一体何者なのだろう?

あの徐少という悪名高い人物が、なぜ葉来を恐れているのか?

江城の若い世代で、誰が徐少をそこまで怖がらせることができるというの?

「どうして徐少と知り合いなの?」

ついに、蘇馨月は我慢できずに尋ねた。

「数年前、徐飛があいつが海外で誘拐された事件、聞いたことある?」

葉来はさらりと言った。

「聞いたことないわ」

「あの時、犯人に誘拐され...