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179話

蘇馨月は頭がおかしくなりそうだった。

つい先ほどまで彼を良い人だと思っていたのに、この男はまぎれもなく最低な大馬鹿者だ。

今すぐ彼を車から蹴り出して、考えが及ばないほど遠くへ消え去ってほしいと思った。

こんな男と一緒にいたら、いつか本当に狂ってしまうだろう。

「ほら見てよ、怒った顔も美しいね。さっきまで楽しく話せてたのに、どうして怒るの?」

「楽しんでたのはあなたでしょ!」

「僕は……」

「黙って!さもないと今すぐ出て行きなさい!」

「わかったよ!黙ればいいんでしょ?はぁ、崇高な理想のためなら我慢するさ!」

葉来はため息をつきながら、小さく呟いた。

蘇馨月は不機嫌そうに尋ねた。

「あなたに理想...