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114話

銃の音がしないのはなぜだろう?

その場にいた全員が首を傾げた。

さっきは確かに皆の目の前で、葉来が引き金を引いたのを見たはずだ。

たまたま弾詰まりでも起きたのだろうか?

「こんな腰抜け野郎が、人の真似して強がってんじゃねぇよ。この役立たず!」

葉来は冷ややかに笑った。

手を緩めると、中の弾丸が「カラカラ」と床に落ち、澄んだ音を立てた。

その時、皆は理解した。

なんと葉来が先ほど銃を構えた時、すでに弾を薬室から抜いていたのだ。

だから銃の中には弾など一発も入っていなかった!

「俺は...死んでない、生きてる、良かった、俺はまだ生きてるんだ!」

九死に一生を得た背の高い警官は我に返ると、狂喜して立...