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511話

私は事務所に戻った。うちの部署は大きくも小さくもない規模で、忙しいと言えば忙しいし、暇とは言えないまでも毎日が暇というわけでもない。

戻ってから手元の仕事を片付けたが、まだ三十分ほどしか経っていなかった。事務所の中では雑談に興じる者、トランプに興じる者、スマホをいじる者と、毎日このような雰囲気は悪くないのだが、上進心が削がれていくのは確かだった。

もう私もこの年齢になると、もう出世も望めないし、抵抗するのもやめた。コネもなければ人脈も道もない。金もない。だから諦めがついたというわけだ。

同僚と世間話をしていると、机の上に置いてあった携帯が鳴った。画面を見ると、我が部署の副主任である趙敏か...