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115話

彼は崔小雨の笑顔に浮かぶふたつの小さな笑窪が見え隠れし、「李勲お兄ちゃん」と呼ぶ姿を思い浮かべるだけで、表情が自然と柔らかくなった。

秦甜甜の取り入るような「お兄ちゃん」と比べると、李勲は崔小雨の純粋な親しみの方がずっと好きだった。

「わ、私は…」秦甜甜は言葉に詰まった。

すぐに、彼女は目をきょろきょろと動かし、しょぼくれた様子で尋ねた。「李勲、あなた私のこと嫌いなの?」

その言葉に、李勲は一瞬固まった。

彼にとって、秦甜甜はただ幼い頃から一緒に育った隣人に過ぎなかった。

彼女に対して好意はなかったが、嫌いというわけでもなかった。

なぜなら、誰かを嫌うのにも表情を無駄にするからだ。

そう考えな...