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230話

シルは恐らく情欲と先ほどの怒りで頭が混乱し、この瞬間、慎重さも長期的な計画も忘れてしまった。彼は顔を横に向け、エイデンに尋ねた。「俺のこと、好きか?」

エイデンは緊張した。今のこの状況で、こんな質問は命取りだ。

シルは食い下がった。「エイデン、お前が言ったじゃないか。シルお兄ちゃんが一番好きだって」

エイデンはシルにきつく抱きしめられたまま、身動きひとつできなかった。確かに言ったけど、今のこの「好き」とは違う意味だったのに!!!

シルは長い間返事を待ったが、答えが返ってこず、ゆっくりとエイデンを放し、長く息を吐いた。「……わかった」

エイデンは解放されても安堵を感じるどころか、シルの...