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215話

「小王子は呆然としていた。次の瞬間—」

「あああああ!」

公女様は傍らでテレンスの醜態を見ていたが、今や彼女も呆気に取られていた。急いで人を呼び集め、走り去った小王子を追いかけた。

テレンスは全く気にする様子もなかった。

さて、これで静かになった。

また、いつもと変わらない朝だったが、変わっていたのはエイデンが珍しく寝坊せず、用事があると言って早くに出かけていたことだ。

ヒルは剣の稽古を終えた後、エイデンがまだ戻っていないことに気づき、ついでにエイデンの部屋を片付けていた。窓を開けて空気を入れ替えようとした時、遠くからエイデンの声が聞こえてきた。

エイデンの努力の甲斐あって、今日...