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87話

京都を離れた後、一行は春風に乗って北へと向かった。急ぎ馬を走らせたため、半月ほどで走馬川の境界に到着した。

チャランドゥオは馬上で、眩しい陽光に目を細め、鼻先に薄い汗を浮かべながら叫んだ。「喉が渇いた」

衛風臨は彼女と並んで進みながら、懐から水筒を取り出してチャランドゥオに渡した。

彼女は水筒を受け取って一口飲み、満足した後、わざと栓をきちんと閉めずに衛風臨の胸元へ投げ返した。

衛風臨は反射的に受け取ったが、水がゆれて数滴が彼の顔にはねかかった。

チャランドゥオはくすくすと笑い出した。

彼女にからかわれた衛風臨は、少し戸惑ったような表情を浮かべたが、何も言わず黙って水筒の栓を閉めた...