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69話

「宝鹿林」という皇室の狩猟場は都から百里ほど離れた場所にあった。

伝説によれば、かつて大梁の太祖皇帝がこの地で狩りをした際、一頭の小鹿を弓で傷つけたという。その小鹿は全身雪のように白く、黒い瞳が澄んでいた。太祖はその愛らしく可哀そうな姿に心打たれ、殺すことができず、自ら小鹿の傷を治療し放してやった。

後にその白い鹿は神の姿に変わり、太祖の寛大さと仁徳を称え、草を咥えて露を振りまき、太祖に災いを福に変える運気を授け、大梁の基業を築く加護を与えたのだという。

太祖が即位すると、この地を狩猟場として「宝鹿林」と名付け、「鹿に出会っても射てはならない」という掟を定めた。

宝鹿林は広大で、西は望青山に至...