私は風雪に乗る

64話

単に謝従隽のあの時の眼差しを思い出すだけで、謝知鈞は歯ぎしりするほど憎しみを覚えた。

彼が回廊を通り過ぎた時、前方から微かな足音が聞こえてきたため、すぐさま柱の陰に身を隠した。

二人の侍女が清潔な衣服を手に捧げ、一人が歩きながら言った。「あなたはこの屋敷に来たばかりだから、何事も慎重にね。若様はお風呂中で、尋春だけがお仕えできるの。私たちは衣服を届けたら、すぐに外で待機するだけ。若様は評判通り温厚な方だけど、口や目を慎まない者は最も許されないわ。多く働いて少なく話す、覚えておきなさい」

もう一人が答えた。「わかりました」

謝知鈞は裴長淮が入浴中だと知り、二人の後をこっそりと追った。

尋春は中...