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62話

裴長淮は幼い頃から体が弱く、侯府の門を出たことがなかった。彼と謝知鈞はお互い京都にそのような人物がいることを知っていたが、これが初めての対面だった。

翌日、謝知鈞は粛王府の名義で正則侯府に拝謁の手紙を送った。裴家の長男である裴文が自ら客人を迎えた。しかし謝知鈞は侯府に入るなり、名指しで裴昱に会いたいと言い出した。

裴文はこの粛王世子の気性については耳にしていたので、三郎が何かの拍子に彼の怒りを買ったのかと思い、彼が仕返しに来たのだろうと考えた。ところが裴長淮が客間に入るや否や、謝知鈞は飛びつくように彼に抱きついた。

「阿昱、会いに来たよ!」

彼はくすくす笑いながら、裴長淮を抱きしめ、鼻...