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129話

その夜、風雨が激しく降り注いでいた。

趙昀は兵を率いて、反乱軍を追い詰め、とある廃村に辿り着いた。村には田舎家が二、三軒あるだけで、炊事の煙も灯火も見えず、長らく人が住んでいないようだった。辺りは草が生い茂り、古木が深々と立ち並んでいた。

斥候が趙昀に報告した。「反乱軍は逃げましたが、太師…逆賊の徐守拙はまだここにおります」

趙昀は遠くから、茅葺きの家の一つに灯された蝋燭の光と、破れた窓に映る徐守拙の沈黙した影を見た。

彼は万泰に命じた。「お前は引き続き反乱軍の追討に向かえ。私の馬の世話をする者を一人残すだけでよい」

万泰は趙昀が馬から降り、徐守拙に一人で会いに行くつもりらしいのを見て、心配そ...