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76話

鐘毓琰は眉を寄せていた。彼はその密書を見た時、南蘭のように多くのことを考えなかった。ただ、もはや言霊との和平交渉は不可能で、互いに命を懸けた戦いになると思い、それで防戦態勢を整えていたのだ。

だが南蘭の分析を聞いた今、巫咸国の今回の動きは、実際には出兵する意図はないのではないかと思い始めた。

結局のところ、彼らの将軍はただ言霊に捕らえられて人質となっただけで、殺されたわけではない。さらに、彼らは巫咸国全体を怒らせるようなことも何もしていない。たとえ国主が親征を宣言したとしても、実際に戦争が始まるとは限らないだろう。

「安軍師の見立てでは、巫咸国は今回、本当に出兵するつもりなのだろうか?」...