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73話

沈晚吟はすぐさま表情を変えた。「私も鐘毓琰を手放すつもりはないわ!」

「私にとって、鐘毓琰はあなたの玉麒麟と同じ存在よ。あなたが玉麒麟を手放せるなら、私も鐘毓琰を諦められる」

この言葉を口にしながら、沈晚吟は自分自身に吐き気を催すほど気持ち悪かった。まるで鐘毓琰なしでは生きていけないかのような言い方だった。だが仕方ない、今はこう言うしかなかった。何としてでも沈晚念の玉麒麟を手に入れるつもりだった。

理由は単純だった。先日、楊安と話した時に、たまたま沈晚念の玉麒麟の話題が出ると、楊安は羨望の眼差しで「自分もあの玉麒麟を見てみたい」と言ったのだ。

愛する人の望みを叶えないわけにはいかない。...