3話
鐘毓琰は即座に理解した。彼はすべての将軍たちを呼び集め、南蘭の新しい立場について告げた。皆一様に不満げな表情を浮かべ、抗議の声を上げた。「将軍はなぜこのような若造を抜擢されるのですか？」
「そうだ、こんな小僧を軍師にして我々を率いるなど、私、鞏某は第一に認められん」
「わしが食った塩はこの若造が食った飯より多いぞ。何の権利があって我らに命令する？」
一瞬のうちに、南蘭は途方に暮れた。彼らの視線に晒され、その不承認の眼差しが彼を非常に不快にさせ、まるで窒息しそうな気分だった。彼はそのような視線を恐れていた。
突然、逞しい体格の人影が彼の前に立ちはだかり、疑念の視線と声をすべて遮った。南蘭が顔を上げると、鐘毓琰だった。
鐘毓琰は彼らの振る舞いに激怒し、冷ややかに言った。「若いことがどうした。本将も諸君より年下だが、この地位に相応しくないとでも言うのか」
なぜか、南蘭が恐れて少しずつ身を縮め、隅に退こうとする姿を見ると、胸が痛んだ。また、誰かが彼を見下す様子を見るのも我慢ならなかった。この感覚は、まるで自分の身内が目の前で虐げられているようで、耐え難いものだった。
鐘毓琰は振り向き、自分の背後に守られている南蘭を見た。仮面のない半分の顔で軽く微笑み、まるで「安心しろ、俺が守る」と言うかのようだった。
南蘭の心臓が強く鼓動した。彼は目の前の人物が本当に大ボスなのか疑わざるを得なかった。体型や声、見える半分の顔は全く同じだが、彼の大ボスはこのような行動は決してしないはずだった。だから彼のシナリオでは、鐘毓琰もこのようなことはしないはずだった。南蘭は呆然と目の前の人物を見つめ、まるでその正体を見極めようとしているかのようだった。
他の者たちは鐘毓琰がここまで一人の人間を守るのを見て、これ以上彼の顔に泥を塗るようなことは言えず、黙って座っているしかなかった。
鐘毓琰は一同を見回し、誰も何も言わないのを確認すると、南蘭の後ろに歩み寄り、彼の肩を叩いて言った。「今からこの戦いが終わるまで、安軍師の言葉は私の言葉だ。お前たちは無条件で従え。わかったな？」
「はい」皆は不承不承答えた。
……
人々が去った後、鐘毓琰は南蘭に向き直り、彼に言った。「卑下する必要はない。お前の能力は確かに彼らより優れている。どんな欠点があろうとも、戦略においては、お前は彼らをはるかに超えている。他人の目を気にするな。自分自身を信じろ」
南蘭は頷いた。彼は自分に自信がないわけではなかった。ただ、あの疑いの目を見たとき、どこか見覚えのある感覚に襲われ、心の奥底から湧き上がる恐怖を感じたのだ。それは南蘭自身でも制御できないものだった。以前にはこのような感覚を経験したことがなく、今日はいったい何が原因だったのだろうか。
南蘭はどう考えても答えが出なかった。
南蘭の表情がすぐれないのを見て、鐘毓琰はそれ以上何も言わず、すぐに兵士を呼び、南蘭の宿舎を手配させ、彼に休息を取るよう促した。
南蘭は頷き、その兵士に従って鐘毓琰のテントを出た。
三日後、この新任の若き軍師は白い衣装に身を包み、白玉の簪で上半分の髪を結い上げ、残りの髪は絹のように背中に流れ、腰まで届いていた。
南蘭は特製の車に乗り、兵士たちに前線まで押され、敵軍と向かい合った。その光景は絶景だった——もし彼の絶えず震える足を無視できれば。
両軍の距離は遠かったが、南蘭は正面から押し寄せる殺気を感じた。
幸い自分は座っていた。でなければ、この状況で彼はとっくに膝を折っていただろう！しかし大ボスはあまりにも金持ちすぎる。これだけのエキストラを雇うのにいくらかかるのだろう！CGで後から合成すれば良いのに。やはり金持ちの世界は貧乏人には理解できない。
「向こう側の軍師は若造ではないか？」陳唐将軍は不思議そうに尋ねた。彼の記憶が正しければ、伝説の金面将軍は半分仮面をつけた、威厳のある男のはずだった。目の前の白面の若者はどう見ても戦を知る者には見えない。噂は間違っていたのだろうか？
「いや、情報によれば、鐘毓琰を暗殺するために傭兵が雇われ、鐘将軍と副官は重傷を負って意識不明だという。この者は鐘毓琰が新たに迎えた軍師だろう」陳唐の側にいる、木製の車椅子に座った人物が言った。
陳唐は眉をひそめ、隣の人物を心配そうに見た。「外出するなと言っただろう？風邪がやっと良くなったばかりだ。テントでもう少し養生すればいいものを」
段玉辰は自分の足にかけられた毛布を引き上げた。「問題ない。医者は外に出て動くべきだと言っていた。ここに来れば、少しは役に立てるかもしれん」
「お前は…」陳唐はもっと言いたいことがあったが、飲み込み、自分の親衛兵に何かを言った。その兵士は段玉辰の後ろに立ったが、段玉辰は気づかないふりをして、敵国の若い軍師に目を向けたままだった。
「情報は確かか？」陳唐は少し疑わしげに尋ねた。
「もちろんだ。あの暗殺者たちは私が雇った」
陳唐は納得し、軽く笑った。「なるほど。では今回の戦いは間違いなく我々の勝利だな」
古代の戦争では、両軍が対峙し、士気を高めるために太鼓を打ち鳴らすのが常だった。
陳唐は向かいの白面の若者を見て、腕を上げ、下に振り下ろした。太鼓の音が天に響き渡った。
巫咸国の太鼓が終わると、南蘭はようやく頭を下げ、側にいる兵士に頷いた。兵士は理解し、太鼓台に走り、三回叩いた。
最後の太鼓の音が落ちると、双方の兵士たちはまるで血に飢えたかのように前進し、格闘し、殺し合った。兵士たちの叫び声、武器がぶつかり合う音、肉が裂け、血が飛び散る音が絶え間なく響いた。
言霊国の兵士たちは徐々に劣勢に立たされ、もう持ちこたえられそうにないとき、南蘭は慌てて命令を下した。「撤退！」
全ての兵士は恩赦を得たかのように、逃げ帰りながら自分の鎧と武器を捨て、まるで命からがら逃げるかのようだった。戦いを経験したばかりの若き軍師も、特製の車から転がり落ち、自分の姿を気にする余裕もなく、必死に本陣へと逃げ戻った。
「将軍、追いますか？」
陳唐は段玉辰を見て、彼が頷くのを確認し、命令を出した。「追え」
言霊国の兵士たちは峡谷へと逃げ込んだが、陳唐が軍を率いて追いついた時には、彼らの姿はなく、地面には鎧や武器だけが散らばっていた。
周囲は異様に静かで、風がそよぎ、わずかに土の匂いを運んでいた。
不気味な静けさだった。
段玉辰は何かを察知したかのように、前方の森を見つめ、眉をひそめた。
おかしい。
「早く退け、伏兵だ！」
段玉辰の言葉が終わらないうちに、峡谷の両側の高みには言霊国の兵士の姿をした者たちが弓矢を構え、彼らに狙いを定めていた。
「急げ！撤退だ！」陳唐は手綱を引き、馬の向きを変え、手の剣を振るって両側から飛んでくる矢を払った。段玉辰の側で彼を守る役目の親衛兵は、段玉辰に向かって飛んできた矢を一本防いだ直後、背後から射られ、心臓を貫かれた。その親衛兵は明らかに信じられない様子で、目を見開いたまま地面に倒れた。
「段先生！」誰かが叫んだ。陳唐が振り返ると、長い矢が段玉辰に向かって飛んでいた。段玉辰は自分の死を覚悟し、ゆっくりと目を閉じた。