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72話

しかし、死体からは何も良いものを見つけられなかったものの、今この瞬間、私の体内に何かの力が脈打っているのを感じていた。この感覚は何に似ているかというと、以前の私の体はとても虚弱だったが、今は自分が屈強な男に変わったような気がしている。

体の力が何倍にも増しているようで、使い切れないほどだ。

この死体は本当に良い人だったんだな。死ぬ直前に最後の良い行いとして、私の力を高めてくれたんだから。もし彼が直接私の魂を消していたら、おそらく抵抗する時間すらなかっただろう。

今となっては、自分は死んでしまったくせに、修為までも私に与えてしまった。これには泣くに泣けない気分だ。

深く考えずに、私は谷の...