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35話

その瞬間、私の頭はぼんやりとして、まるで粥のようになり、何も分からなくなった。

私は振り返ってあの石へと走り寄り、石の上に倒れ込むようにして必死に探し始めた。何か見落としている場所がないか確かめようと。

だが何も見つからなかった。石彫り工房には頻繁に来ていたわけではないが、それでもここは我が家の工房だ。この石彫り工房とこの石については非常に詳しい。この石は小さい頃から触れ尽くしてきた。目を閉じても石の形状を思い出せるほどだ。

この上に何か特別なものがあるだろうか?

しかし、絶望に沈みかけていた時、私の曇った目が突然輝き、視界がはっきりとしてきた。心の中で狂喜が湧き上がった。今、石の上の...