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346話

その瞬間、私はすっかり混乱してしまった。この太った男の力が、先ほどより二倍以上も増していることに気づいたからだ。それまで彼が全力を出していると思っていたが、今になってようやく自分の判断が大きく間違っていたことを悟った。

この太った男は全力を出していなかっただけでなく、今この瞬間でさえもまだ力を温存していたのだ。

一瞬の驚愕に、自然と恐怖が湧き上がり、私は一瞬我を失った。

それでも私は太った男の表情を見逃さなかった。今や彼の顔には嘲笑いが浮かび、同時に殺意が滲んでいた。彼が言った通り、もう私と無駄話をするつもりはなく、だからこそ殺気が表れていたのだ。

状況が危険だと悟り、私の心の中の恐怖...