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167話

私と李雯雯が振り向くと、表情がたちまち曇った。入り口に一人の男がうずくまっており、今まさに私の手にある納戒を貪欲な眼差しで見つめていたのだ。

「納戒、まさか伝説の納戒なのか?」その男は興奮した面持ちで、舌なめずりさえしていた。その様子を見て、私の心に悪寒が走った。

おそらく私と李雯雯の修為を察知したのだろう、男は貪欲な表情を浮かべながらも、私たちの視線に気づくとすぐさま身を翻して逃げ去った。

私は納戒をしまい込んだ。もはやこれ以上目立つことはできない。人の心というものは測り知れないものだ。この場所に駆け込んだ時点で、私たちの大半はすでに正気を失っていたと言えるだろう。

外の世界なら人を...