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774話

実は、この鉄門は最も単純でありながら最も効果的な目くらましを使っていた。わざと錆びついた大きな南京錠を取り付けて人々を惑わせているが、実際のところ扉を開けることはその南京錠とは何の関係もないのだ。

二人が中に入ると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。唐龍が中を覗き込んでみたが、何も見えない。ただの剥き出しの石壁があるだけだった。

楽老人も特に何も言わず、彼を連れて奥へと進んでいく。約五十メートル歩いたところで、楽老人が左側の石壁をぽんと叩くと、一つの扉が開いた。しかし扉が開く前まで、唐龍はそこが間違いなく石壁だと確信していた。

石の扉を抜けると、中には灯りがあり、比較的はっきりと見えた。そ...