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709話

唐竜は拳を打ち出したが、黒い虫は少しも怯む様子がなかった。

「人間よ、お前たちは余りにも小さな存在だ。小さすぎて私が手を下すのも億劫になるほどにな」黒い虫は大言壮語で言い放った。

その時、唐竜の拳の勢いはすでに黒い虫の体に届いていたが、相手はわずかに横に滑るように身をかわし、見事に空を切らせた。

「はははは、弱き生物よ、お前に私を傷つけることなどできぬ。さあ、早く私と協力するがいい。必ず約束は守るとも」

「ふん、傷つけられないだと?だったらお前が今このような姿になっているのはどういうことだ?」

「これはこの体が弱いせいであって、私とは関係ない。信じられぬなら、もう一度試してみるがいい...