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630話

唐龍は自分が常に携帯している短刀が鶏公の手にあるのを見て、思わず驚いた。

鶏公は得意げに言った。「大将、俺たちが祖師爺のところに戻った時、偶然にこの短刀を見つけたんです。一目で大将のものだと分かったから、拾って持ち帰ったんです。最初は大将の身に何かあったのかと思って、形見にでもしようと思っていたんですが、天の恵みか、大将は無事で、やっと直接お返しできますよ」

鶏公のこの話は、真実と嘘が半々で、聞いていた唐龍もなんとなく信じてしまいそうになった。

しかし、彼は鶏公という男が自分に対してそこまで忠実であるはずがないと確信していた。最も考えられるのは、鶏公が山賊の修行の深さを見て、すぐに賊を親...