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620話

唐龙は必死に持ちこたえ、片手を空け、次々と符陣を結んで全身を守り、ようやく体勢を立て直した。

その時、水面が突然大きく揺れ動いた。鶏公はそれを一目見ただけで、驚いて足に力を込め逃げ出した。彼は心の中で叫んだ。「唐龙はもうダメだ!」

実は、鶏公が目にしたのは巨大な尾。先ほどの龍型怪物の尾とまったく同じものだった。

一体の龍型怪物だけでも唐龙は苦戦していたのに、今また一匹現れたとなれば、唐龙には逃げる機会すらないだろう。

「馬頭、ここは危険だ!早く祖師爺を連れて離れろ!」

馬頭はいつも鶏公の命令に従う。すぐに龔老漢を引き上げると、飛ぶように外へ逃げ出し、唐龙をひとり孤独に取り残した。

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