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613話

「氷男が一手を出すや、猿王はその経験と知識から、自分の二人の部下が敵わぬことを悟った。しかし救援に手を貸すこともできず、思わず悲痛の声を上げ、両拳を胸に打ち付けた後、素早く後方へと走り去った。

その時、二匹の大猿の顔に喜びの表情が浮かび、大きく叫び声を上げると、飛び上がって二人に向かって襲いかかった。

轟音が響き渡り、一匹の大猿が吹き飛ばされ、続いて「プスッ」という音と共に、氷の刃がもう一匹の大猿の額を貫いた。

彼らは生まれながらにして猿王の従者であり、猿王のためならいつでも命を捧げる存在だった。今、彼らはついに本望を遂げたのだ。

「くそっ、早く追え!逃がすな!」陰陽顔の男が奇声を上げ...