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606話

木船の左右と後ろは守られていたが、前方は無防備だった。無数の魔鬼魚が船首に押し寄せ、これでは前進するのがさらに困難になる。

唐龍は龔老漢をちらりと見て、心の中で呟いた。「このしぶとい爺さんめ、まだ知らんぷりか。このままじゃ全滅だぞ」

しかし、龔老漢は木筏の真ん中にきちんと座ったまま、まったく動く気配すらなかった。まるであれだけの魔鬼魚が自分とは何の関係もないかのように。

唐龍はとうとう我慢できなくなり、声を上げた。「師匠、前の方に魚が多くて邪魔してますよ。お力を貸していただけませんか」

龔老漢は目をひん剥いた。「わしはこんなに老いぼれておる。近づいたら骨までかじられてしまうわ。行かん、...