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590話

龚老は方向に関して生まれつきの直感を持ち、山の配置についても一目見れば忘れない能力を持っていた。彼は周囲を見回した瞬間、山の形が変わっていることに気づいた。

大山は粘土細工のように、思い通りに形を変えられるものではない。天地の間に聳え立ち、おそらく何万年、何億年も形を変えないはずのものだ。それが今、変わっていたのだ。

龚老は草薬の知識を持つ素朴な民間医だったが、この状況を目の当たりにして、泣きそうになるほど怯えていた。すぐに「鬼十八」についての様々な言い伝えが頭に浮かび、両足はガタガタと震え、まともに歩くこともできなくなった。

「あの時はね」と彼は言った。「もう漏らしそうになってね、心の...