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579話

悲しみに包まれ、不安に胸を締め付けられながら、曲麗は慣れ親しんだ森へと走り出した。ここは幼い頃に最も遊ぶのが好きだった場所。あの頃は空も晴れ渡り、心も晴れやかで、同じ年頃の仲間たちと毎日遊び回り、何の悩みもなかった。

しかし年を重ねるにつれて、悩み事も増えていった。そして彼女の美しさが、彼女を一層悩ませる種となっていた。

もし彼女があれほど美しくなければ、あの黄鼠狼という悪党に目をつけられることもなかっただろう。目をつけられなければ、曲家を標的にしていろいろな嫌がらせをされることもなく、幼い頃のように、両親の良い娘でいられただろうに……

今はもうすべてが過去となり、二度と戻ることはない。...