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576話

剣光が電光のように閃き、鐘雨曼は唐龍の露出した下腹部へ向かって突きを放った。唐龍はすでに察知していたものの、手は太った師兄に固く掴まれ、回避することができなかった。

窮地に陥り、唐龍はすぐさま身を跳ね上げた。手は掴まれていても、体を浮かせれば同様に避けられるはずだった。

だが予想外にも、太った師兄は突然もう一方の手で彼の肩を押さえつけた。強烈な力が肩から流れ込み、瞬く間に全身を貫いた。両足は鉛を注がれたかのように急に重くなり、もはや浮き上がることができなくなった。

本来なら唐龍と太った師兄の修為は互角であり、通常の状況では師兄が彼をこれほど容易く制御することはあり得なかった。しかし事態は...