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575話

唐龍は窮地に追い込まれ、思わず大言壮語を吐いて、鐘雨曼が自分の婚約者だと言い切った。これを聞いた太った師兄は驚愕の表情を浮かべた。

鐘雨曼の表情といったら、まさに七変化、百花繚乱とでも言うべき有様だった!

霊宝山は修行界では間違いなく一流の大門派であり、鐘雨曼はその掌教の娘である。彼女の身分と地位は言うまでもなく、特に美貌の持ち主であるため、多くの門派の若旦那たちが首を長くして彼女に求愛の列を成している。まるで星々に囲まれた一輪の月のように、清楚で気品があり、光彩を放っていた。

ところが今、どこからともなく現れた修行者の小僧が、厚かましくも鐘雨曼は自分の婚約者だなどと言い放った。

幸い...