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52話

「食事にしよう、ついでに休憩も」と譚維は少し考えてから言った。

唐龍はそれを聞くと頷いた。

譚維が大きなホテルを選ばなかったのも無理はない。宿泊の手配は彼女らしく節約しつつも行き届いていた。

彼女と章芸馨がスイートルームを共有する以外は、唐龍たち三人は普通のツインルームだった。

唐龍は譚維の荷物をスイートルームに運び入れた後、自分の部屋へと向かった。

自室に着いた唐龍は、すぐにドアを施錠することはしなかった。

まず室内を隅々まで確認し、異常がないことを確かめてから、ようやくドアを閉め、携帯を取り出して香港上海銀行の担当者に電話をかけた。

電話が繋がると、広東語を話す男性の声が聞こえてきた。「ど...