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495話

方紫漠はこの時、幸せに完全に浸っていた。さらには少し誇らしさも感じていた。一見解決不可能に思えた矛盾を解消できたからだ。

二人は車で羊胡同に戻り、昆家の中庭に入ると、方紫漠は昆浩の肩にぴったりと寄り添い、まるで小鳥のように、うっとりとした表情を浮かべていた。

二人が部屋に入ると、昆浩は古びた箱を開け、中から七、八本の筒状の物を取り出した。それは書画を収める伝統的な軸筒で、今ではあまり見かけなくなっていた。

彼は手近な一つを取り上げ、方紫漠に渡しながら言った。「私はこういうものには素人だから、君が見てくれないか。どれがいいと思ったら、それを贈ればいい」

方紫漠は長年父親の影響を受け、書画...