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474話

唐龙は譚維が普段使っている髪飾りを発見すると、即座に「裂之巻」を展開した。途端に周囲の景色が立体的な点と線に変わり、空間に漂う波動までもがはっきりと目に映るようになった。

ここは静寂に包まれた山林で、空気は非常に清浄で澄んでいた。どんな匂いでも長時間留まるような、そんな場所だった。

唐龙は「裂之巻」を使うことで、視力だけでなく嗅覚も通常以上に鋭くなっていた。

かすかに譚維の体香が感じられる。それは香水のような人工的なものではなく、自然な香りだった。

彼女が確かにここを通ったのだ!

その薄い香りを頼りに、唐龙は猟犬のように山野を駆け抜けた。どれくらい歩いたのだろう、ふと我に返って振り返...