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352話

父子二人はともにこの国に大きな貢献をしてきたが、それは世間には知られていなかった。

今や、丙老は門前に座り、足を組んで、息子が慌ただしく出勤し、また退勤時に急ぎ足で帰っていく姿を眺めるのが何よりの楽しみだった。

父子の間で言葉が交わされることはなかったが、丙老はそれだけで十分満足していた。

外側の鉄門は形だけのもので、本当の警備は内部にあった。だから丙老自身も形だけの存在で、一日中そこに座って新聞を読んだり、ひまわりの種をかじったりしているだけだったが、上層部から咎められることもなかった。

この日も退勤時間になり、丙老はいつものように正門に立ち、息子が建物から出てくるのを見ていた。

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